・ ・ ・ ・ ・ 夜更けに誰かがアパートの階段を上る。 その影は部屋に侵入すると、少年に刃を振り下ろし、鮮 血がほとばし る・・・ 深夜に起こったそれは、市巻浄児(いちまきじょうじ)の悪夢だった。 翌朝、彼のクラス3-Aに早伊良禎兼(さいらよしかね)という転校生がやって来る。 レベルの高い中学校からの編入のようだ。 次の時間の体育の授業には出ないという。 早伊良 は具合の悪そう な市巻を見つけ、保健室に連れて行こうとするが、まわりの反応が少し変だ。 保健の先生によると、ただの寝不足だという。 早伊良は市巻がいじめに遭っているのではといぶかしむが、担任の橋沼先生はそれを否定する。 あと数 日で冬休みとい う時期に、なぜ転校してきたのか? 昼になり菊名は早伊良にからむが、彼は怒って出て行き、屋上へ。 そこではなぜか市巻がひとり座っている。早伊良は隣り に座り、弁当をかっ喰らうのであった。 菊名は先生に「噂がある」と早伊良の素性を聞きに行く が、よく知らないのにあれこれ言うものではないとたしなめられる。 早伊良は徒歩で通学している。帰りに市巻らしい後ろ姿 を見つけ、後を行くと、おんぼろなアパートに入っていった。 どうやらここに住んでいるらしい。 早伊良は帰り道の案内を頼むが、地図を書くというので 玄関に入って待たされる。 台所を見回すと、普通の家にはあるはずのものが見あた らない。違和感を覚えつつも帰路に着く。 夜も深くなっていき、眠れない市巻は、カレンダーに印 をつける・・・ END →act1 |