夜になった。

自分の部屋にいる。

相当しつこかったけど結局、ナンパはついていかなかった。
面倒だからちょっとつきあってやろうかとも思った。
でもがんばってふりきった。

顔はよかったけど…
なんか違った、あの人は。
彼の方がいいとかでもない、それも違う。

彼のことは、好きになれると思ってただけ、それだけ…

なんでそんな風に思ったんだろう。


あたしはグループの子たちに飽き飽きしてた。
あたしのグループは女子4人男子2人。
FっちとOくんはつきあってる。
残りのRくんを、DちゃんとZ美が火花散らして取り合ってる。
で、勝手にあたしのことをライバル視してる。
違うって…眼中にないって… ぜんっぜんわかってくれない。
Rくんには悪いけど顔もあんまり良くないし… 性格とかも…
マジ疲れる…
さっさと彼氏でもできたらいいなあ、とは思ってた。
忙しくてグループのみんなとはつきあってられないんだ、ごめ〜ん、とか言って。

でも、微妙な人を選んでしまった。
もしつきあっても、みんなには言えない。
なんで彼なんだろう。

彼はいつも一人。
どのグループにも入ってないのに、部活や生徒会もやってないなんて。
なんで?
どうして一人で平気なの?
すごく不思議だった。
きっと強い人なんだ、そんな気がした。

あたしは弱い。
ひとりではいられない。
生きていけない。
でも彼は平気なんだ。
あたしが急にいなくなってもきっと平気だろう。
何とも感じないだろう。

彼にはあたしなんか、必要じゃない。

拒絶された。

さっきそれがはっきりわかって、
だから悔しかったんだ。

そう、ただ悔しいだけ。
認めさせたいだけ。
お前が必要なんだ、一緒にいてくれって、言わせたかっただけ。
上に立ちたかっただけ。

でも無理。
あたしは弱いから。

悔しい。
すごい悔しい。

一瞬でも構わない。

認めて欲しい。

受け入れて欲しい。

心から。

そしてあたしにそれがつたわるように、感じられるように。

そのためなら何でもするし、何だってできる。

そうだ、何だって。

がんばれ、あたし。

あの長いまつげをもう一度近くで見るんだ。



甘いお菓子と甘いとジュースを口に入れ、
彼にメールを入れた。




「会いたい」