時間が過ぎ、夜になった。

俺はいつものメンバーとチャットで今日のことを話した。
ゲームが紹介されたこと、女が来ていたこと、人を馬鹿にして帰ってしまったこと…
いつもならプライベートな話はしないので、戸惑ったようだがつきあってくれた。

俺のハンドルネームは便宜上「俺」。ご了承願う。

◎「勿体ないな、もしかしたらいいとこまで行けたんじゃな い>俺」
■「おいらも部屋に女の子召喚したいww」
俺「あり得ない、ゲームを馬鹿にする女なんか>◎」
▼「その子かわいいの?誰似?」
■「カコイイ!>俺」
◎「まあしょうがないよね、人種が違うんだよ」
俺「正直微妙。似てるのは強いて言えばもぐら>▼」
俺「人種ですか…、その時はただショックで>◎」
■「微妙もぐら萌えw」
◎「もぐらイイ!紹介してww」
▼「はははははははははh」

もぐら評判いいなもぐら…
この後はさんざんシモネタに走った。

●さんからメール。
俺のゲームが某所で紹介されたことを自分のサイトにも書いておいたら、
それを見て喜んでくれたのだ。
チャットの勢いでその返信に、今日のことを書いてしまった。
返事はこうだった。

今 日のことは気にするな
明 日のことを考えればいい

ところで、俺の意見を少し書い ておく
参考にするかしないかはお前次 第だ

いつものセリフだ。
この後には●さん得意の語りが入る。
どんなことが書いてあるのか楽しみだ。

女の前ではゲームを捨てろ
決して長い間じゃない
後の全てはお前の自由にしてい いんだ 
女といるときは女のファンタ ジーにつきあってやれ 
そして、自分のファンタジーに 女をつきあわせようとはするな
時間の無駄だ

ああ なるほどな…◎さんが言ってた「人種が違う」みたいなことだろ。
それはわかるような気がする。
でも…。

女に謝ってこい 素直に謝れば 向うだって悪い気はしない

謝るって… 何を…。

自分に非がある事を逃げず誤魔 化さず認める…
それには大きな決断と勇気を必 要とする
潔い謝罪は俺に言わせれば男ら しい行為だ

男らしいかどうかはまあ別として、
俺はこのことに関して、そうまでしたくない。
俺が悪かったから、また遊びに来てくれとでも言うのか。
また一緒にどこかに遊びに行こうとでも言うのか。 
俺はあの子を多分そんなに好きじゃない。
向こうだってそうだ。
これ以上関わるべきじゃないと思う。

あきらめるな
好きでもない女に
お前の大事な物を見せたのか
お前の聖域に招き入れたのか 

・・・

理屈じゃないんだ わかるだろ う もう余計なことを考えるのはやめろ

・・・。。。。

おまえは俺みたいになるな が んばれ

何があったんだ●さん…

でもどうやってがんばるんだよ わかんないよ…

今日はぐっすり眠れ お休み!

俺は一言だけ書いてメールを返した。

「有り難うございました」

チャットのメンバーもそうだけど、この人もどこの誰だかわからない、赤の他人だ。
でもいつも俺と話してくれて、俺の力になってくれる。
何かあったら俺もこの人達の力になりたい。
それだけの人間になりたい、なっていきたいと思う。

ベッドに横たわって静かにしていると、●さんの言葉が浮かんできた。

「理屈じゃないんだ」

そうかもしれない…


携帯が動く。
彼女がメールで会いたいと言ってきた。

どうすべきか。





理屈じゃないんだ、多分。